2003年7月18日金曜日

2003HP


高次脳神経機能の非線形ダイナミクス解析

東北大学加齢医学研究所・未来科学技術共同研究開発センター
山家智之、川島隆太

緒言
ファミコン癲癇や、ポケモンショックの事件発生以来、人工の映像などによる視聴覚刺激が生体に与える悪影響について危惧されるようになり、厚生郵政通産などの官庁においても様々なプロジェクトチームが結成され、研究が進んでいる。
本研究では発想を変えてむしろ画像刺激の持つ積極的な意義について検討するために、最近話題に上る「癒し系」の画像コンテンツに注目し、その生体に与える影響について、心拍変動による自律神経機能解析と脳血流及び脳組織内酸素飽和度の観点から検討を加えた。
対象と方法
健康なボランティアの学生二十例を対象に、拡大スクリーンにてヒーリングビデオコンテンツを視聴させ、心電図及び近赤外線モニタリングデバイス を用いて、心拍変動と脳組織内酸素飽和度を計測した。更に同じコンテンツをヘッドマウンティッドディスプレイを用いて視聴させ、ポジトロンCTにて脳局所 血流について検討を加えた。ヒーリングビデオコンテンツはテラウチマサト氏の「屋久島スライドショー」である。更に対象として、モザイク画像に、音楽を逆 転させた無意味でありながら光と音の刺激の絶対量は全く同じになるコンテンツを試作し、同様に視聴させ、安静時と比較検討を行った。
結果及び結論
いずれのコンテンツ視聴時にも癲癇発作や不整脈の発生は観察されず、有意の心拍数の変化も確認されなかった。心拍変動解析の結果、スペクトル解 析においてはLF成分、HF成分及びLF/HFでは、ばらつきが大きく有意差が確認されなかった。ボックスカウンティング法にてフラクタル時限解析を行っ たところ、対象の逆転画像刺激時に比較して、ヒーリングビデオコンテンツ視聴時においてフラクタル次元の増加が確認された。前頭葉における脳組織内酸素代 謝においては、スペクトル解析では有意の変動が観測できなかったが、アポロキシメトリーエントロピーの時間軸に沿った減少傾向が観測された。ポジトロン CTの画像では、安静時のサブトラクションでは後頭葉の血流増加が確認された。従ってヒーリングビデオコンテンツは心拍変動を支配する自律神経機能と脳血 流に有意の影響を与えている可能性が示唆されたものと考えられる。

2003年7月17日木曜日


 PWV : Pulse Wave Velocity

脈波伝搬速度(PWV)のHPへようこそ!


Its'new!
 baPWVの方法論が、Am J Hypertensionにアクセプトされました。
 第一回東北脈波情報研究会が開催され、盛会のうちに活発なディスカッションが行われました。
 東北大学とスモレンスクステートメディカルアカデミーが学術協定を締結、PWVの国際共同研究を行います


ハンバーガー?、お好きですか?、ケンタッキー?、お好きですか?
 本邦に置ける食生活は戦後大きな変貌を遂げています。
 粗食と言われた日本食から、欧米人並の肉食・乳製品を主体とした食事へ・・・
 最前線の医療機関である市中病院さんや開業医さんで外来をお手伝いしていても、大人のコレステロールはおろか、子供の高血圧、子供の動脈硬化の発症までを心配しなくてはならないのが、飽食の時代にある今の日本の状況です。
 さて、日本人に於いても急増している動脈硬化の「硬化!」とは?
 動脈硬化の「硬化」度。
 すなわち、動脈の血管壁の硬さを診療的に検出する指標が脈波伝搬速度(PWV)です。
 東北労災病院東北大学病院など、市内のいくつかの大きな病院では、このパラメータを応用して動脈硬化の定量診断を実施しています。
 宮城県内の病院や診療所、開業医の皆様と合同で、症例を持ち寄って臨床研究も精力的に邁進しています。


第1回東北脈波情報研究会 
2003年7月19日

代表世話人 伊藤貞嘉(東北大学大学院医学系研究科)
仁田新一(東北大学加齢医学研究所)

事務局 宗像正徳(東北労災病院循環器科)
山家智之(東北大学加齢医学研究所)


脈波伝搬速度(pulse wave velocity: PWV)

 小学校の算数の時間に、速さは、距離 割る 時間で計算されることを習います。
 従って、脈波の伝搬の速度も、測定部位の距離と波が伝わる時間で計算できることになります。
 右の図を見ましょう、心電図のR波発生の後、心音図に反映される心臓の収縮が惹起され、発生した脈波は、ある時間遅れた後に、右手に伝わり、更に時間が遅れて、右足にも伝搬されます。
 重要なのは、波の伝わる速さは、管が硬いほど、また、経が大きいほど、速いと言うことです。
 すなわち、脈波の伝搬速度には、血管の硬さと、血管の経が反映されることになります。
 「動脈硬化」と、言う字を改めて眺めてみましょう。
そう、動脈硬化とは、そもそも血管が硬くなる!、という解剖学的現象を言い表したのが原語でした。
 現在、心筋梗塞・脳卒中など、多くの成人病の諸悪の根元と言われる動脈硬化症の代表的な定量診断法が、脈波伝搬速度PWVです。
 このように重要な動脈硬化の定量的診断法が、非侵襲で、患者さんに全く負担をかけずに計測できることは、大きな福音と言えるでしょう。現在、このPWVは、学会でも注目されており、動脈硬化病変の予後予測の他、高血圧に伴う臓器障害の予測にも大きく役立っています。 
 最近、本邦では、日本コーリンやフクダ電子など様々な医療メーカーで、従来のように面倒な頸動脈の測定などを必要としない、簡便なPWV計測システムが市販されるようになり、一気に一般病院への普及が加速されました。

高血圧治療と脈波伝搬速度   その1その2

血管内皮研究とPWV



PWV検査装置
血圧脈波検査装置 form PWV/ABI (日本コーリン)
血圧脈波検査装置:Vesera VS-1000 (フクダ電子)