2003年4月19日土曜日

人工括約筋


人工括約筋!

― 文部科学省振興調整費採択に成功


 東北大学の人工括約筋プロジェクトは、文部科学省の大型研究予算、振興調整費に採択されました。億単位の大型予算で、人工括約筋の具現化を目指します。

人工括約筋山羊

 人工肛門の患者様のための、従来は不可能であった排便のコントロールのための具現化する全く新しい人工臓器の開発を目標に精力的な開発研究をすすめます。
 研究代表者は、流体科学研究所の羅助手で、加齢医学研究所の劉君、段君がポスドクとして採用されることになり、括約筋の動物実験をサポートすることになりました。
 これにあわせて加齢医学研究所の動物実験研究施設を改造し、山羊用の研究ケージに監視 用テレビカメラが内蔵され、どこからでも動物実験の管理が可能になります。最終的には患者様に埋め込まれた後もインターネットセキュリティシステムを駆使 した人工臓器のリモート管理を目指しています。

加齢医学研究所慢性動物実験施設

 三年間の研究計画によって括約筋の基本設計をリファインすると同時に、日本人工臓器学会などの学術組織ともタイアップして臨床前試験へ進展させ、具体的な企業化も目指します。


人工心筋山羊の「ななこちゃん」と、人工肛門山羊の「ももこちゃん」
左から白石博士研究員、伊藤秘書、山家助教授、王博士研究員

 現在、既に海外のベンチャー企業からも問い合わせが相次ぎ、日本発の全く新しい人工臓器として発展が期待されます。

2002年9月16日月曜日

人工臓器のカオス制御による加齢現象のコントロールに関する研究

人工臓器のカオス制御による加齢現象のコントロールに関する研究

Control of Aging by the use of Artificial Organs
Research Project Number:11480253

Principal Investigator

  • FY1999~FY2002
    • 山家 智之
    • YAMBE, Tomoyuki
    • Researcher Number:70241578
    • 東北大学・加齢医学研究所・助教授

Co-Investigators

    • 西條 芳文
    • SAIJO, Yoshifumi
    • Researcher Number:00292277
    • 東北大学・加齢医学研究所・助手
    • 仁田 新一
    • NITTA, Shin-ichi
    • Researcher Number:90101138
    • 東北大学・加齢医学研究所・教授
    • 吉澤 誠
    • YOSHIZAWA, Makoto
    • Researcher Number:60166931
    • 東北大学・情報シナジーセンター・教授
    • 田林 晄一
    • TABAYASHI, Kou-ichi
    • Researcher Number:90142942
    • 東北大学・大学院・医学研究科・教授
    • 田中 明
    • TANAKA, Akira
    • Researcher Number:10323057
    • 東北大学・大学院・工学研究科・助手

Basic Information of this Research Project(Latest Year)

  • Project Year

    FY1999~FY2002
  • Research Field

    医用生体工学・生体材料学
  • Screening Classification

    一般
  • Research Category

    基盤研究(B)→基盤研究(B)
  • Research Institution

    東北大学
  • Budget Amount

    • Total:¥11200000
    • FY1999:¥4900000 (Direct:¥4900000)
    • FY2000:¥2000000 (Direct:¥2000000)
    • FY2001:¥2500000 (Direct:¥2500000)
    • FY2002:¥1800000 (Direct:¥1800000)

Abstract(Latest Report)

世界中の人工心臓研究施設の検討によって、完全置換型の全人工心臓による長期慢性実験において は、平均動脈圧の慢性的な上昇、中心静脈圧の上昇、甲状腺ホルモンの異常等、加齢に伴う循環動態の慢性的な変化が加速して発現することが報告されてきた。 これらの現象を鑑みれば、いずれも加齢による病態変化と合致するものであり、一種の加齢促進モデルと位置づけることが出来る。従って、これらの変化を多変 量解析による方法論を駆使して定量化することにより加齢現象の促進モデルとその加齢現象の定量的な評価システムを具現化することができるものと考えられ る。そこで、平成11-14年度にわたってこれまで行ってきた動物実験の経験の蓄積を応用して慢性動物実験による検討を行った。成山羊を用いて慢性動物実 験を行い、各種人工臓器を装着し、時系列データのカオス解析によって加齢現象解析のための時系列データの蓄積を始めると同時に得られた時系列曲線に対して 非線形力学を応用した解析の試みを行った。すなわち無拍動、拍動、高周波振動流などの各種人工心臓の慢性動物実験を行い、覚醒状態で心拍変動や動脈圧、右 房左房の圧時系列曲線や人工心臓拍出量などを慢性的に長期的に連続記録を行った。得られた人工心臓慢性動物実験の循環動態の時系列曲線は、データレコーダ に蓄積した後にオフラインでADコンバータを介してコンピュータ入力を行い、フラクタル次元解析アルゴリズムの確立を試みた。平成11-14年度における 具体的には拍数単位で定量化された時系列をスプライン補間した後に再サンプリングを行って高速フーリエ変換や最大エントロピー法を駆使したスペクトル解析 を試み、周期性のゆらぎ成分や1/fゆらぎについて検討すると同時にカオス力学やフラクタル理論に基づいた非線形解析を試み、加齢現象における非線形ダイ ナミクスの情報量変動の重要性が明らかにされた。現在、これらの研究成果を臨床に還元するべく、医学部附属病院におけるホルター心電図解析アルゴリズムへ の応用も試みつつある。
Since an aging society comes unescapable, we cope with various diseases by the Aging, and have the necessity of aiming at the society where healthy elderly people play an active part. Although an Aging phenomenon can also be considered to be change of the whole body, in the medical spot, it servers as generating of the illness of an internal-organs unit. The illnesses of an internal-organs unit are various medicines and adaptation of a surgical operation. To the internal-organs malfunction which has advanced irreversibl, radical correspondence of transplantation, an artificial organ, etc. becomes indispensable to life maintenance. Therefore, a possibility that support of high-tech medical treatments, such as an articial organ, will become unescapable at the healthy aging society is high. It is becoming old memory with collapse of the Communist bloc that the long-term struggle for existence of the animal experiment of an artificial heart was performed having applied national prestige all over the world. There is an opinion about which it whispered between the artificial heart researchers in the world from that time. It is "aging of the animal after implanting an artificial heart is early ?" It is the hypothesis to say. To pathophysiological change which can be regarded also as promotion of such an Aging after implanting an artificial heart, the syndrome of a "artificial heart syndrome" was proposed in the University of Tokyo. Research on change of the heart blood vessel system in connection with various artificial circulation and Agings has been done even in Tohoku University. The Institute of Development, Aging and Cancer in Tohoku University carried out the research subject "the nonlinear analysis of the artificial heart animal as an Aging promotion model" by the support of the test research from the Ministry of Education science research cost. Cousequently, the artificial heart chronic animal as an Aging promotion model was established. Based on this result, the Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology science research cost base research "research on control of the Aging phenomenon by chaos control of an artificial organ" was done from 1999 to 2003. Our results suggested the feasibility of control of Aging by the use of the artificial organs.

2002年4月1日月曜日


厚生労働科学研究費補助金
萌芽的先端医療技術推進研究事業:ナノメディシン研究分野

ナノテク集積型埋め込み式心室補助装置

東北大学は厚生労働省科学研究費萌芽的先端医療技術推進研究事業(ナノメディシン分野)に採択されました。東北大学、北海道東海大学、早稲田 大学等が共同で、日本人のための埋め込み型超小型人工心筋の開発を目指します。ナノテクを集積することによって超小型化を目指します。
 欧米で既に開発されている埋め込み型の全置換型人工心臓や、電磁駆動式補助人工心臓は、欧米人の体格に合わせているので余りにも大きすぎ、殆どの日本人には埋め込みが不可能です。
 東北大学ではこれから巨大市場が見込まれるアジア地区、日本人のような体格に小さな東洋人のための埋め込み型の人工心筋を、東北大で尖端的な研究が行われているナノテクを集積して作り上げます。

1991年9月16日月曜日

自慢のチェコ語の論文

向こうで翻訳してくれました
私がチェコ語をしゃべれるわけではないです

1985年5月22日水曜日

外来3


甲状腺機能亢進症

 甲状腺の疾患では、心房細動や発作性の上室頻拍などの頻脈発作をきたすだけでなく、高次脳神経機能に関する性格のほうのシフトが起こることも多いようです。
 患者さんが、じっと座っていられなかったのは、躁鬱や、認知症などではなく、甲状腺ホルモンの過剰の影響だったようで、内分泌科のある市立病院を紹介。なんとか、手術もなしで安定し、無事に外来通院に戻りました
 治ってみれば、不整脈の発作も完全になくなり、穏やかな患者さんの性格なので、娘さんの看護師さんもほっとしているようです。ただ、実は治ってみ ればおおらかな患者さんなので、すっかり肥ってしまったようです。甲状腺機能は外来ではすっかり正常を維持しており、心機能/腎機能とも正常、むくみでは なさそうです。心電図も、現在はすっかり洞調律に復帰しました。甲状腺の薬も減らせそうです。不整脈の薬も減らせ、抗凝固も減らせるかもしれません。
 外来診療では、手術のように、「やったあ!うまくいったぜ!」と言うような、大きな達成感がえられることは、そうそうは、ありませんが、たまに は、こういう感じで、「よっしゃあ!」と言う感じの満足感が、スパイク状に、秘かに盛り上がる瞬間もあります。医者の勝手な自己満足と言われればその通り ですが・・・
 うまくいけば、患者さんも満足、ご家族も満足、薬も減らせるので、医療費も減らせることもあります。そして、内緒ですけど、医者や看護師さんなど医療側も、実は、その瞬間だけは、秘かにスパイク状に心の中では喜びが盛り上がっていますが、まあ、黙ってニコニコ笑っていることにしています。

 何でもいいから笑いなさい!


山家智之

1985年5月21日火曜日

外来2


さもない外来担当医の、かすかな喜び

 大学にいると、頼まれ外来の依頼が結構あるものです。どの病院も常勤医の不足感は否めません。土日は一応、外来はお休みの国公立系の 大学病院に対し、土曜日は外来を開いてる私立病院などでは、医師の派遣を大学に土曜日にお願いすることは、比較的よくあることです。まあこれは日本のどこ の地方でもだいたい同じだと思います。うちでも昔は、土曜は外勤とほとんど決まっていました。そんな、ちょっと昔の話ですが。
「あ、先生、次の患者さん、外来のXXさんのお母さんです」
「え?・・・^^;)・・・そ、そう・・・」
 患者さんは全部平等に診なければならないわけですが、さすがに、いつも外来で一緒に診察しながら世話になっている看護師さんのお母さんとなれば、 ちょっとは気を使う・・・と言う側面は否めません。なにしろ、医者を見る目に関しては、世界で一番厳しい目で見る職種の一つが看護師さんであると言えるこ とには、ほとんど反対の意見はないのではないでしょうか? でも、看護師さんが、わざわざお母さんと連れてきてくれるのは、それだけ頼りにされているのか な?と、ちょっとだけ嬉しかったりもしますが、その分もちろんやや慎重にもなります?
 粗相のないように・・・と、ちょっと緊張していると、
 とっとっと・・・と、速足で駆け込むように診察室に入り込んでくる小柄なおばあさん。
 えっ?・・・と、思っていると、後ろから追いかけるように、いつも外来で一緒に診察している看護師さんが私服で入ってきます。
 まあ、車いすの患者さん、杖の患者さん、いろいろいらっしゃりますが、駆け込んでくるような患者さんは、小児科でもないのにちょっと珍しいかも?
 いつもの外来看護師さん。今日は非番かな?
 「先生、うちの母なんですが、前からここの病院で、不整脈で診てもらってたんですが・・・」
 「はい・・・」
 「この間からず~っと心房細動みたいで・・・」
 パラパラとカルテをめくると、確かに何回か発作性の心房細動になっているが、少し前から、慢性の心房細動で固定してしまったらしく、リスモダンに、バイアス、ペルジピンと、一応、当時の標準の抗凝固も行っているみたい。(いまならもちろんワーファリンですね)
「いつくらいから、ドキドキしましたかなあ・・・」
 ゆっくりゆっくり、聞いてみる。
 ところが、 「うん、うん」 と、目をそちこちにキョトキョトさせ、そもそも、こっちを見てくれず、なんか、僕の話を聞いてくれてないみたいな・・・と、いうか、ギシギシ身体を揺らして、なんともかんとも落ち着かない風情。ううん、ディメンツかしら?・・・看護師さんのお母さん・・・困ったなあ
 「ほら、おかあさん」 看護師さんも困った風。
今日の担当の看護師さんも不安そうに僕を見る。いつもの外来看護師さんも、お母さんを心配そう・・・ううん、こういう時は、
 「う~ん、まず、診察してみましょうか?」 と、話しかける間にも、もう患者さんは席を立とうとする様子で、落ち着かない。 ううん、ここまでじっとできないのは、さすがにプシコかなあ・・・躁鬱病の可能性は確かに高そう・・・精神科は専門じゃないんだけど・・・と、ここまで考えて。
     あ!・・・と、気がつきました。

・・・・・わかった方もいましたよね、答えはこちら