2010年4月7日水曜日

ESAO award!


ヨーロッパ人工臓器学会発明賞2009受賞!


 東北大学加齢医学研究所、芝浦工業大学、早稲田大学の研究チームは、欧州人工臓器学会において、欧州人工臓器学会発明賞を受賞しました。
 心不全症例の中には、特に、先天性の心臓疾患をもった症例の場合、左心不全だけではなく、右心不全をきたす場合も多く、静脈性のうっ血などにより 予後が限定される場合も多いことが知られています。そこで、東北大、芝浦工大、早稲田大学の研究チームは、右心循環を補助するための新しい右心補助人工心 筋システムを考案し、動物実験を進めています。
 重症心不全に対す終的救命手段として心臓移植と並んで人工心臓の心象が注目され、本邦でも空気圧駆動型の補助人工心臓の臨床応用が進められていま す。しかしながら人工心臓システムは基本的に血液ポンプシステムであり、血栓形成の危険は免れ得ない側面が残ります。更に、血液ポンプは、必要なないとき でも常に打ち続けなければ血液が滞留してたちまち血栓が形成される危険があります。
 そこで、東北大学では、個々の患者様の収縮障害の部位に応じたオーダメイド加療を具現化する、心臓を外側からアシストするナノテク人工心筋システ ムのシステム開発を進めています。Apexに拡張機能を維持させ、心房の収縮機能を維持させる手術方式により、拡張障害の発生は予防されている計算になっ ています。
ArtMyo.jpg
システムはナノテクを応用した新しい形状記憶合金バイオメタルによる駆動アクチュエータとコントローラ、ナノテク素材による経皮エネルギー伝送ユ ニットから構成されています。血液に接触しないので血栓の発生の危険が存在しません。心不全の病態における収縮性の低下した部位に装着することで全体の心 機能を改善するシステムということになります。システムの埋め込みの解剖学的位置の計算のために、MRI画像を基に、流体科学の数理解析に基づいた数値シ ミュレーションから心室内の流速ベクトル表示の計算を試みています。
MRI.jpg
その結果、各心周期における心室壁の運動の関与が明らかになり、人工心筋装着の方法論に関する有益な情報が得られる結果となっています。臨床応用 に当たってMRI検査を術前に行うことで、人工心筋システムの臨床応用に関する有益な情報を得る方法論が得られたものと考えられます。
更新日時:2010/04/17 18:16:58

2009年12月25日金曜日

脳血管の運動


brain 脳血管運動と自律神経

 任天堂の脳トレシリーズに代表されるように、計算/暗算などの簡単な脳神経活動負荷と、脳血流分布の関連性が注目されています。今月号の自律神経には、脳血管運動と自律神経支配に関する解説記事が掲載されています(自律神経46,2009)。
 そもそも、脳循環には、還流圧を一定範囲に保持する自動調整能が存在し、脳卒中等の発生を予防する代表的ホメオスタシス機構が存在することは広く知られていますが、必要に応じて脳循環をコントロールされる機構が存在することはMRIなどの血流分布解析により明らかです。
 脳循環に関与する因子として、自律神経、内皮細胞、一酸化窒素、二酸化炭素も関係していますが、レニンアンギオテンシン系など液性因子の関与もあ るようです。最近では、ノルアドレナリン、アセチルコリンなど、交感神経/副交感神経の因子だけでなく、セロトニン系の関与も注目されているようです。
 自律神経をゆっくり休養させて、脳神経活動を十全に発揮する体調を目指すべきだと考えられます。


Can personality traits predict pathological responses to audiovisual stimulation?
Yambe T, Yoshizawa M, Fukudo S, Fukuda H, Kawashima R, Shizuka K, Nanka S, Tanaka A, Abe K, Shouji T, Hongo M, Tabayashi K, Nitta S.
Biomed Pharmacother. 2003 Oct;57 Suppl 1:83s-86s.

 
更新日時:2009/12/25 13:14:21

2009年12月16日水曜日

自律神経


そもそも自律神経って何?  Autonomic nervous system

 医学の父と呼ばれているのは古代ギリシャのヒポクラテス(450?~370?BC)で、「観察こそ医学の基本である」と強調したと言 われますが、ギリシャ文明の衰退とともにローマ帝国の全盛時代となり、「医学の皇太子」と、呼ばれるガレノスが実質的にギリシャ医学をまとめあげました。 現在の解剖学の交感神経節や、迷走神経はガレノスの記載が歴史上最初と言われていますので、自律神経学はローマ帝国に起源があると言えるかもしれません。
 脳神経系は、人体の末梢と神経系を介して密接に結びついているわけですが、末梢より中枢へ興奮を伝える神経を求心(感覚)系(経路)、中枢から末梢へ興奮を伝える神経を、遠心(運動)系(経路)と呼んでいます。
 骨格筋を支配している遠心系、並びにこれと機能的に結合している求心系を体性神経系(Somatic nervous system)と呼び、意識に関係なく内臓を制御する神経系を自律神経(Autonomic nervous system)と呼びます。(Guyton AC, Textbook of Meical Physiology)
 自律神経系の末梢部は、交感神経系と、副交感神経系により構成され、主として胸腰部に中枢があるものを交感神経系と呼称し、中枢が中脳、延髄、及び仙髄にあるものを副交感神経系と呼称することに解剖学的にはなっています。
 主たる内臓は、交感神経と副交感神経の二重支配を受け、その多くは拮抗して働くことが知られています。(生理学通論、共立全書1972)
 自律神経系のシステムには、交感神経、副交感神経、腸管神経、副腎クロム親和性細胞として、神経堤細胞から分化したシステムとして一体化して理解することもできます(Promer on the Autonomic Nervous system)
更新日時:2009/12/16 16:21:36
キーワード:[自律神経] [交感神経] [副交感神経]

2009年12月1日火曜日

baroreflex


血圧反射機能baroreflex

 血圧反射機能とは、ホメオスタシスの一種であり、自律神経機能を介した、血圧の値を一定の範囲に保持するための反射システム。血圧反射、動脈圧反射、圧受容器反射と表現されることもある。 本態性高血圧症の患者の一部では、この血圧反射機能の感受性の低下が高血圧の原因の一つになっていることが知られている。
 血圧を感知する圧受容器は、頚動脈洞と大動脈弓に存在し、血圧の変動を感知している。血圧が上昇すると、圧受容器が反応し、反射的に、心拍数が下 がり、心筋の収縮力が低下し、動脈が拡張するので血圧が下がって正常値に復帰する。しかしながらある種の高血圧患者では、この反射の感受性が低下し、高血 圧の病因となる。
 血圧反射の感受性は、血圧の変動に対する心拍数の変化などで診断される。すなわち、薬剤注射などによりを血圧を上昇させた際に、心拍数の減少を記 録し、血圧の上昇量に対する心拍の反応で診断を行う。しかしながらこの方法では、心臓の血圧反射機能は診断できるが、血管系、動脈系の血圧反射機能は診断 できない。
 そこで、血管の血圧反射機能を定量的に診断するために、最近では脈波伝播速度などから動脈の血圧反射機能を診断する方法も提案されている(心臓リハビリテーション14(1)108-114)
 心臓の血圧反射機能と、動脈の血圧反射機能を、独立して精密に定量診断できれば、高血圧患者の病態に応じた最適な医療が可能になる点で興味深い。 すなわち、心臓が血圧反射機能が不十分で血圧が上昇している場合の薬剤や食事指導の選択など、精密できめ細かい予防医療が可能になり、薬剤選択においても重要な知見をもたらすこととなる。
 薬剤や統合医療治療により血圧反射機能が改善した例も報告されているので、血圧反射機能の定量診断は、高血圧における薬剤選択に決定的に重要な診断基準になりうる可能性を秘めており、研究が進められている(日本統合医療学会誌1;28-32)。
 我々の研究では、ある種の薬剤投与で、心臓の血圧反射機能だけでなく、動脈の血圧反射機能が改善した症例も確認されており、よりきめ細かい高血圧治療のために、病態生理学的な精密診断は、最適な医療を行うためには、今後ますます必要になっていくと思われる。
更新日時:2009/12/01 16:44:24
キーワード:[血圧反射機能] [高血圧症] [本態性高血圧症] [動脈の血圧反射機能] [脈波伝播速度]

2009年11月25日水曜日


Automatic nerve control vehicle

MTp.jpg
更新日時:2009/11/25 12:18:46

2009年10月19日月曜日


また新幹線でドクターコール

「ご乗車のお客様でお医者様か医療関係のお客様がいらっしゃりましたら・・・」
一回当たると当たりやすいのでしょうか? 再びドクターコールに当たってしまいました 今度は5号車のお客様 行ってみたら、お客さんが皆さんこちらを振り向くのでちょっとビビりましたが 別に倒れているお客様はいなさそう・・・ と、思ったら、椅子に座りこんでいらっしゃる方がそうだとの由。 すでに、もう一人ドクターがおいでになっていられたようです。 ちょっとプルスが乱れ、心房細動っぽい感じ。 心室性期外収縮多発か?? 聞いてみてば、どうやら突然のてんかん発作で、隣の方が車掌さんを呼んだらしいのですが、まだ意識はあるものの、失見当識が残っていそう・・・受け答えはあれど、日本語がはっきりせず、失礼ながら「日本の方でしょうか?」と、聞いてしまいました。 ようやく意識がはっきりしてきたところで、どうやらてんかんの病歴をお持ちの方と判明。最近は安心して休薬気味だったと。 安定してきたところで、新幹線が大宮に着いたので、救急車にお願いしました。 ううん、最近あたりが多いのでしょうか?
今回は、幸い循環動態は安定していたようでしたが、先日、うちの人工食道や括約筋で、シリコンバレーでベンチャーを探してくれるというアメリカ支部 の西村先生と、サンフランシスコで会議していたところ、西村先生は新幹線で、もろにCPRすることになったことがあるそうで、東京の会議も全部キャンセル になったことがあるそうです。
大事な会議があることもあり、後のケアも考えていただけるとありがたいこともありますね。抜けられない時もあるわけですから。
でも、今回の患者さんは、どうやら命に別条がなかったようなのでまずは良かった。(ホッ・・・)
更新日時:2009/10/19 19:36:35