2014年12月15日月曜日

引用して残しておきます

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第2章 「福島は住めない」のか 
1. 「美味しんぼ」問題が浮き彫りにしたもの 

 「美味しんぼ」には、科学的な根拠を示さずに上から目線で「福島県民はだまされている。真実を知らない」とあおる、傲岸不遜な態度が随所にみられます。最も問題なのは「福島には住めない」と声高に主張し、「危ないところから逃げる勇気を持て」と煽っていることです。このことが作者がもっとも言いたかったことであり、「放射線被曝で鼻血」は「福島には住めない」と言いたてるための手段にすぎません。放射性物質による汚染で長期間にわたって住民が帰還できない地域があることは事実ですが、福島県全域が「住めない」とレッテルをはるのは、差別や風評を煽って被災者を苦しめる「加害」以外の何物でもありません。 
 私も福島第一原発事故の後、調査などで何回か福島県を訪れましたし、福島に住み続けている方々の声を聞き本も読みました。そこでわかったことは、原発事故で放出された放射性物質と共存しながら暮らしていかざるを得ないというやっかいな状況におかれてしまった福島県民の皆さんたちこそが、放射線や放射能について福島県外の人たちよりも学習し、科学的な判断にもとづいて住み続けるという選択をされている方が多いということです。福島の知人は、「福島県民の中で自由民権運動の時、第二次世界大戦後に大きな自主学習運動があった。いま、福島県民は三度目の自主的な大学習運動に立ち上がっている」と話していました。私は「美味しんぼ」こそが、福島をまともに取材もせず県民の声もきかず、科学的な根拠もないままに思い込みによって書き散していて、「真実を知らない」のだと考えています。 
 福島原発事故がもたらした深刻な被害の中に、いわゆる震災関連死の問題があります。被災県の中で福島県が突出して多く、2014年2月末現在で1664人、5月には1700人を超えたということです。これほど多くの人々が避難途中、あるいは避難生活で命を落としており、今も犠牲者の数が増え続けています。このことは、避難にはきわめて多くのリスクが伴うということを示しています。しかし、「美味しんぼ」はこの重い事実を一顧だにしていません。根拠のない言説で不安をあおることは、そのこと自体が人びとに大きなストレスを与えます。私は「美味しんぼ」そのものが、福島県民に多大なストレスとリスクを与えていると考えます。 

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