2014年10月11日土曜日

体重と腸内フローラ

http://allabout.co.jp/gm/gc/383201/

同じ遺伝子を持つ一卵性双生児でも、体重の違う「きょうだい」は異なるタイプの腸内フローラを持つというのです。論文によると、太っている人たちの腸内フローラはフィルミクテス(firmicutes)門の細菌群が優勢でした。フィルミクテスの仲間は、ヒトが分解できない食物繊維などから強力にエネルギー(カロリー)を搾り取って宿主にプレゼントしてくれます。これに対し、痩せている人たちはバクテロイデス(bacteroides)が優勢でした。バクテロイデスはそれほど効率よくエネルギーを回収できません。この差は僅かですが、毎日の積み重ねですから、年単位なら肥満の一部を担うことも考えられます。
腸内細菌はある種のビタミンを作って宿主に返してくれますが、難消化性の食物繊維を分解して短鎖脂肪酸の酪酸やプロピオン酸などを生成すると、腸管細胞がすかさず頂戴して、自分のエネルギーにしてしまいます。小腸は血液で栄養補給してもらいますが、大腸は自前で補給する部分があります。
体の一日の総摂取カロリーの10%以上も腸内細菌から吸収しているという説がありますから驚くべき数値です。
このNature誌論文の同じ研究者たちは、ヒトが減量に成功すると上記の2つのタイプの腸内フローラがシフトする、とも発表しています。また、痩せタイプの腸内フローラは細菌の多様性にも富むそうです。多種多様な腸内細菌が活動している方がヘルシーなのです。
さて、腸内フローラに体重がリンクしているのなら、いずれの日にか抗生物質で腸内フローラをバクテロイデス優勢型にする減量治療が始まるかも知れません。でも、食物でもなんとかなりそうですね。科学誌Cell(2010)に発表されたのは、マウスの実験ですが炭水化物に富む食餌を与えると痩せ型のバクテロイデス優勢型になったそうです。今はやりのベジタリアン風の高炭水化物食です。

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